coccoli’s blog

理科とくに生物に関する記事を書いてます。

ストレスを与えると葉緑体がミトコンドリアを取り込む

 植物は細胞内に葉緑体を持っており、葉緑体でおこなわれる光合成によって生命を維持している。その葉緑体はしばしば謎な動きをする。それがミトコンドリア(代謝において重要なエネルギー、ATPを産生する)などのオルガネラ(細胞小器官)を取り込むということである。このオルガネラを取り込んだ葉緑体のことを「葉緑体陥入構造」と呼ぶ。今までにこのような現象は知られていたが、どういった過程で取り込まれるかは分かっていなかった。最近になりGFP緑色蛍光タンパク質、青色~紫外線の光を当てることによって緑色に発光するタンパク質)が開発され、葉緑体に導入させる実験がされた。その結果、今までは見られなかったチューブ状の微細構造が発見された(1997)。形態からその名をStroma filled tubuleより「ストロミュール:Stromule」と名付けられた。このストロミュールは常に運動をしている。しかし現在に至っても、その生理機能は分かっていない。今回はストロミュールの機能について述べることは困難であるが、ストロミュールの紹介までしたいと思う。

f:id:coccoli:20150212234943j:plain京都府立大学より葉緑体から伸びるストロミュール)

 

ストロミュールの形成

 ストロミュールはいつも形成している訳ではない。外部からストレスを受けなくては形成しない。そのストレスは確認されているもので「高浸透圧」「塩分」「機械刺激」「乾燥」がある。乾燥の場合、乾燥後1時間でストロミュールは形成される。また、ストロミュールの形成において、葉肉細胞ではあまり発達せず、根や花弁では顕著に発達することが安田浩之の研究で報告されている。このことにより、ストロミュールの形成は組織特異的に制御されると考えられた。

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(↑安田浩之よりA:乾燥からB:1時間後にストロミュールが形成される)

 

 安田浩之の研究によると、細胞骨格(細胞の形態維持や細胞内の流動などの役割がある)の成分であるアクチンフィラメントの阻害剤処理をおこなうとストロミュールの運動が停止することがわかった。しかし、ストロミュールの形成や維持には影響がなく、内的構造が関与していると考えられた。

 

ストロミュールがミトコンドリアを取り囲む

 山根浩二の研究によると、100mM(0.6% w/w)のNaClを曝露させるとストロミュールは主に細胞壁に向かって伸長し、一部のストロミュールはミトコンドリアに向かって伸長するのを確認された。また、ミトコンドリア全体を取り囲むものや、ミトコンドリアを取り囲んだストロミュールの先端が自身の葉緑体に接合しているものも確認された。さらに、葉緑体陥入構造内にミトコンドリアまたはペルオキシソーム(解毒をおこなうオルガネラ)を含むものや、ミトコンドリア複数含むものも確認され、他にも内部にミトコンドリアなどを含むドーナッツ型葉緑体も確認された。このことにより、葉緑体陥入構造にストロミュールが関与することが示唆された。

 

考えられているストロミュールの機能

 ストロミュールの機能は未だに謎であるが、葉緑体間にストロミュールで連絡させて、タンパク質などの物質の受け渡しがおこなわれていると考えられている。しかし、何を受け渡しているかは不明である。近年、2種類の異色(オレンジ色と緑色)に発光する蛍光タンパク質を用いたMartin H. Schattatらの研究で全てのストロミュールが物質の受け渡しのために形成していないことが判明し、謎は深まるばかりである。

 

 

 

参考文献

山根浩二ら「葉緑体 Stromule は塩ストレス下におけるオルガネラを含む葉緑体陥入構造の形成に関与している」

安田浩之「葉緑体 stromule の生理と構造に関する研究」

藤原 誠「葉緑体分裂開始因子 FtsZ のライブイメージング解析」2009,日本農芸化学会37,20-22

 Martin H. Schattat et al,2012"Differential Coloring Reveals That Plastids Do Not Form Networks for Exchanging Macromolecules"The Plant Cell(12)2014

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