coccoli’s blog

理科とくに生物に関する記事を書いてます。

世界唯一の寄生虫博物館「目黒寄生虫館」

f:id:coccoli:20150129165742j:plain(Googleストリートビューより目黒寄生虫館)

 目黒寄生虫館は東京都目黒区に位置する。設立1953年、現在で62年経つ。1992年に改築され、2001年に登録博物館に認可し、2013年に公益財団法人に認定された。展示フロアは1F~2Fであり40分~50分で全てを見ることができる(私の場合は120分)。世界で唯一寄生虫のみを扱う博物館である。入場料は無料であり、経営維持は全て募金でまかなっている(2014年で2,819,468円)。そのため、厳しい財政状況が続いている。

 今回、私は以前から気になっていた目黒寄生虫館に行ってみた。寄生虫のみを扱っているにも関わらず、展示数は相当あった。

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(↑多種寄生虫のホルマリン標本)

f:id:coccoli:20150129171611j:plain(8.8mの寄生虫

f:id:coccoli:20150129171825j:plain(鰓に寄生)

博物館内には創立者の医学博士亀谷 了(かめがい さとる・故人)のコーナーがあり、当時使われていた顕微鏡やノートなどがある。

f:id:coccoli:20150129172335j:plain(亀谷 了が使用していたもの)

 

寄生 

 寄生虫(以下、寄生生物)はおおまかに分ける生活圏(ここでは相互関係または種間関係のことで相利共生片利共生、寄生、片害作用などがある)の寄生にあたる。寄生の場合、互いの関係を「寄生」と寄生される方の「宿主」に分けられる。寄生生物は宿主から栄養を盗みとって生命活動を維持している。逆に言えば、宿主がいなければ寄生生物は生きることができないということになる。つまり、寄生生物が積極的に宿主から栄養を取ると宿主は死んでしまい、共に寄生生物も死んでしまうのだ。こう考えると、寄生する方にも不利があるということになる。したがって、寄生虫は宿主を殺さないという掟がある。殺してしまったら元も子もないからだ。

 寄生虫は身近なところにどのくらいいるだろうか。よく知られている「アニサキス」。アニサキスは多くの魚に寄生しており、生で食べると胃痛や嘔吐の原因になる。これら症状はアレルギー症状がほとんどであり、アニサキスは存在せず、アレルギー物質があるだけでも症状は出る。しかしながら、アニサキス自体、人には体質が合わず、成体になれずに死滅することが多い。アニサキスの他に住血吸虫、赤痢アメーバ、線虫…寄生虫について述べるときりがないのでこれぐらいにする。

 

 

最後に、今回、目黒寄生虫館に行き、とても関心をもった一種の寄生虫について述べようと思う。

 

フタゴムシ(Eudiplozoon, Paradiplozoon, Diplozoon nipponicum

 コイやフナの鰓に寄生する扁形動物門単生目に分類される。現在約60種。ヒトには寄生しない。雌雄同体であるが、合体時に雄機能や雌機能を示し、地球上はじめて、雌雄が現れた生物とも言われている。2個体(雌雄)が合体してX字状形態(ディポルパ:diporpa)になる。このとき、生殖管は完全につながった状態になっており、引き離すと死ぬ。一度、合体すると死ぬまで融合したままである。1個体のみで単為産卵(雌雄が揃わなくても子孫を残せる)をおこなうことができるが、合体しないと成長ができない。

f:id:coccoli:20150129190102j:plain(目黒寄生虫館の展示物より)

 1個体で生活している時、眼点、繊毛を持ちゾウリムシのような運動をしており、遊泳して宿主の鰓に寄生する。寄生すると、繊毛が消失する。鰓の上で移動してパートナーと出会い、合体する。寿命は2年。合体せず1個体のみで生活すると、合体2個体よりも早く死ぬ。

 

 私は「一度合体したら二度と離れず、合体しないと成長せず長く生きることができない」というところに関心を持った。生物は子孫を残すために他個体との巡り合いがポイントとなる。単個体のみで子孫を残すと遺伝子は全く同じになる。万が一、遺伝性の致死因子(遺伝性感染病や環境の変動にたいする耐性など)があったら全滅する危険性がある。他個体とは遺伝情報が異なるため、その子孫には多様性があり、前記を回避することができる。そこでフタゴムシ。合体後、融合の点で子孫を残すことに対する失敗はなくなるだろうし、合体しないと成長しないというのは単個体のみによる子孫を残すことは難しくなり、結果、多様性が効率よく起きると考えられる。これをもとにフタゴムシは繁栄していったのかもしれないと私は思う。

 余談だが、ギリシャ神話にアンドロギュノスという雌雄が融合した人(雌雄ができるまえの人)が登場している。「今は雌雄が分かれているが、再び融合しようとする名残があるため恋愛という感情が存在する。」とされている。まるで、再び融合ができたのがフタゴムシではないか。と連想させられる。

 

 

 

参考文献

公益財団法人目黒寄生虫館公式サイト

松本洋介「スクエア 最新図説生物」吉里勝利監修,第一学習社,2012年,pp223

水産商品の寄生虫検索データーベース

土井尚道「寄生蟲図鑑 ふしぎな世界の住人たち」目黒寄生虫館監修,2014,(株)飛鳥新社

亀谷 了「Diplozoonについて」動物分類学会会報 第49号

廣瀬一美ら「単生類Diplozoon nipponicumのディポルパの発達と合体について」日本水産学会

 

寄生蟲図鑑 ふしぎな世界の住人たち (飛鳥新社ポピュラーサイエンス)

寄生蟲図鑑 ふしぎな世界の住人たち (飛鳥新社ポピュラーサイエンス)

  • 作者: 公益財団法人目黒寄生虫館,スタジオ大四畳半
  • 出版社/メーカー: 飛鳥新社
  • 発売日: 2013/08/10
  • メディア: 単行本
 

 

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